東京都武蔵野市の自宅で月に1度、約10日間にわたって「鈴木登紀子料理教室」を開催している“ばぁば”こと鈴木登紀子さん(94才)。その月ごとに、旬の食材を使ったお料理を学びます。
ばぁばが「私の聖地」と呼ぶお台所を舞台に繰り広げられる“お稽古劇場”のハイライト、今回はちょっとだけおいしいお肉が食べたいときにぴったりな「牛フィレステーキ」です。ばぁばの軽妙な語りを聞きながら、ぜひ作ってみてください。
「くれぐれも焼きすぎないこと。お皿を温めておくこと。お高いフィレですから、おいしくいただくことに執着しないと損よ(笑い)」
今年11月に95回目の誕生日を迎えるばぁば。「食べることは生きること」の口癖通り、毎日3回の食事を欠かしたことはありません。好物はお肉。今でも200gのステーキをペロリと平らげる健啖家で、自ら認める”食いしん坊”。しかし、その食欲こそが、50年にわたる鈴木登紀子料理教室の原動力なのです。
「私が『今日は食欲ないわ…』と言ったら、お通夜の準備をなさいと家族には言ってあります。冗談じゃないの、食べられなくなったらすぐにサヨナラよ、きっと(笑い)。時折、娘たちに食べ過ぎを諫められるけど、人間は『おいしい』と食べられるうちが花。それなら、心と手をかけてお料理しましょう….というのが、私のお稽古のモットーなのです」
牛フィレステーキの作り方
材料(2人分)
牛フィレ肉 4枚
塩・こしょう 少量
サラダ油 大さじ1
バター 少量
酒 大さじ1
クレソン 適量
(にんじんのグラッセ)
にんじん 約1本(6〜7mm厚さの輪切り8枚分)
水 2/3カップ
砂糖 大さじ2
バター1cm角
塩 少量
作り方
牛フィレ肉は、調理する約1時間前に冷蔵庫から出して常温に戻して
おく。
(2)にんじんのグラッセを作る。にんじんは6〜7m厚さで8枚分の輪切りにする。皮を薄くむいて水に放してからざるに上げる。小鍋に入れ、ひたひたの水を注ぎ、バターと塩を入れて強火にかける。煮立ったら弱火にし、アルミ箔で落とし蓋をし、水分が飛ぶまで約10分ほど煮る。
(3)盛り付ける皿を熱湯につけて温める。
(4)牛フィレ肉に塩こしょうする。よく熱したフライパンにサラダ油を引いて鍋に回して、一旦火を止める。牛フィレ肉をフライパンに並べて中火にかけ、焼き目がついたら表裏を返す。
(5)フライパンを揺すりながらまんべんなく焼き目をつけ、好みの焼き具合になったら火を止めて、酒をふる。
(6)温めておいた皿の水気をよく拭き取り、牛フィレ肉を盛り付ける。バター少量を肉の上にのせ、にんじんのグラッセとクレソンを添える。
PROFILE
鈴木登紀子(すずきときこ)
日本料理研究家。1923年11月に青森県八戸市に生まれる。46才で料理研究家としてデビュー。東京・武蔵野市の自宅で料理教室を主宰するかたわら、テレビ、雑誌等で広く活躍。『きょうの料理』(NHK・Eテレ)への出演は、50年近くになる。『ばぁば92年目の隠し味』(小学館)はじめ著書多数。
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