最高齢現役料理研究家 鈴木登紀子「ばぁば おけいこの時間」いわしのてこね寿司 |kufura [クフラ]

東京都武蔵野市の自宅で月に1度、約10日間にわたって「鈴木登紀子料理教室」を開催している“ばぁば”こと鈴木登紀子さん(94才)。その月ごとに、旬の食材を使ったお料理を学びます。

ばぁばが「私の聖地」と呼ぶお台所を舞台に繰り広げられる“お稽古劇場”のハイライト、今回はいわしを使った手こね寿司をお送りします。炊きたてご飯の熱で、ほんのり火が通ったいわしの絶妙な味わい。ばぁばの軽妙な語りを聞きながら、ぜひ作ってみてください。

「いわしの皮は強く引かないのよ。引く右手を追いかけるように左手で身を押さえながら、すーっと美しくね」

今が最旬、最安値!新鮮な真いわしが手に入ったら、三枚におろしてお刺身や、酢じめにして楽しむのがおすすめです。「魚をおろすのは苦手」という人は、鮮魚コーナーのあるスーパーなら下処理をしてくれるので、迷わずお願いしなさい、とばぁば。

「三枚におろせないからと、こんなにおいしくて栄養満点のお魚を諦めるなんでもったいないもの! 下処理で躊躇なさらないこと。お料理の効率を上げる知恵は“手抜き”とはいいません。プロがおろしたいわしに、あなたが丁寧に手をかければよいのですから」(ばぁば)

いわしのてこね寿司の作り方
材料(4〜6人分)

米 2カップ

水 2カップ強

いわし 5尾

粗塩 適量

酢 適量

しょうがのみじん切り 大さじ3

しょうゆ 大さじ3

炒りごま 大さじ4

もみのり 適量

作り方

1、米は炊く1時間前に水加減をしておき、普通に炊く。

2、いわしはうろこをこそげて頭を落とし、腹側に包丁を入れて内臓を除く。氷水でさっと洗って水気を拭き、三枚におろして腹骨をすき取る。

3、いわしをざるに並べ、両面が白くなる程度にべた塩にする。皮側を上にしてバットなどで受け、ラップして冷蔵庫で30分ほどおく。

4、流水で手早く塩を落とし、たっぷりの氷水に放して締める。ざるに上げて水気をよく切り、バットなどにいわしを並べる。いわしがかぶるくらの酢を注ぎ、冷蔵庫に1時間おく。

5、頭に近い方から、いわしの薄皮をむく。包丁を寝かせてひと口大のそぎ切りにする。

6、ご飯が炊き上がったら飯台などにあけ、しょうがのみじん切りを散らす。その上にいわしをのせ、しょうゆを加えて、しゃもじでご飯の上下を返しながら混ぜる。この時、いわしに直接しゃもじを当てないように注意。身を崩さないように、ざっくりと混ぜるのがポイント。

7、ごま、もみのりを入れてさらに混ぜ、器に盛る。好みで細ねぎの小口切りを散らしても。

PROFILE

鈴木登紀子(すずきときこ)

日本料理研究家。1923年11月に青森県八戸市に生まれる。46才で料理研究家としてデビュー。東京・武蔵野市の自宅で料理教室を主宰するかたわら、テレビ、雑誌等で広く活躍。『きょうの料理』(NHK・Eテレ)への出演は、50年近くになる。『ばぁば92年目の隠し味』(小学館)はじめ著書多数。

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