一度行ってみたいと気になっていた。宇佐市安心院町大見尾の山里の集落に季節の創作料理を味わえる古民家レストランがあるという。春の陽気に誘われ、ドライブがてら車を走らせた。
国道500号を南下し別府方面へ。里の駅「小の岩の庄」を左折し、広域農道をひた走る。小さな看板を頼りに進むと、目的地の「こがらこの里」に着いた。田畑に囲まれた静かな場所に築約150年の古民家がたたずむ。庭先の円筒状の赤いポストはどこか懐かしさを感じる。
「いらっしゃい」。真っ白なエプロンに身を包んだ岡部実さん(72)がにこやかに出迎えてくれた。開放感のある座敷に座ると料理が運ばれてきた。クレソンのサラダに自家製こんにゃくや菜の花のおひたし、シイタケの煮物、薫製チーズなど。前菜だけで10種類以上もあり、どれから箸をつけようか迷う。
一品ずつ味わっていると、頃合いを見計らって山菜のてんぷら、茶わん蒸し、揚げ鶏ネギソースが次々に出てきた。里の食材をふんだんに使った料理はどれも優しい味わいで絶品。集落で収穫された米と一緒に夢中になって食べた。
洋食のシェフだった岡部さんが福岡県から移住したのは2001年。少しずつ改良を重ね、現在の和洋折衷のスタイルを完成させた。「子育て中のお母さんに味わってもらいたい。子どもには母親の手料理を食べてほしいので、レシピは聞かれたら全部教えています」
ゆったりとした時間が流れるレストラン。ぜいたくなひとときを満喫した。
“味”メモ
昼のメニューは前菜、メーンディッシュ、コーヒー、デザートなどが付いた和洋折衷のコース料理1200円のみ。夜はコース料理2000円から。営業時間は午前11時半~午後2時、午後5時~同10時。完全予約制。問い合わせはTEL0978・48・2360。
散歩メモ
桂昌寺跡の岩窟にあるミステリアスな観光スポット。江戸時代後期、庶民に仏の教えを説くために掘られた。閻魔(えんま)大王の裁判を受け、地獄道(延長40メートル)を行くと奪衣婆(だつえば)、血の池地獄、赤鬼青鬼が待ち構える。地獄道を抜けると極楽道(同30メートル)となり、縦穴を登ると丘上が阿弥陀(あみだ)如来の待つ極楽浄土。多くの菩薩(ぼさつ)と素晴らしい景色を楽しめる。入場無料。