片田舎で小さなレストランを営むオルタンス・ラボリがスカウトを受け、連れて来られた新しい勤務先はエリゼ宮。そこはなんとフランス大統領官邸のプライベートキッチンだった。
堅苦しいメニューと規律と縛られた食事スタイル、嫉妬うずまく官邸料理人たちの中で、彼女が作り出すのは”おいしい”の本当の意味を追求した料理の数々。当初は値踏みするような目で遠巻きに眺めていた同僚たちも、いつしか彼女の料理の腕前に刺激され、冷たくお堅い官邸の厨房に少しずつ新風が吹き始める。
彼女の豪快な手腕と笑顔に巻き込まれ、大統領のお皿に食べ残しがなくなってきたある日、彼女に直接声をかけてきたミッテランの口から意外な話が飛び出す――。